新潟イタリア協会会報誌の連載を古いものから少しずつ転載いたします。
********************************
はじめまして、こんにちは。オリーブオイルソムリエの森山陽子と申します。オリーブオイルのセミナー講師をしながら、イタリア各州のオリーブオイル農園を訪ね、オリーブオイルとそれにまつわる食文化、魅力的な人々を日本の皆さんにお伝えする活動をしております。どうぞ宜しくお願いいたします。
第一回目となる今回は、私とオリーブオイルの出会いをお話したいと思います。

2009年、食や健康にかかわるお仕事に就きたいと思い、そのベース作りのために、私の理想の一つであるスローフード、スローライフの国、イタリアへの留学を決意しました。行先として選んだ街は、トスカーナ州のシエナ。信頼するイタリア語の先生の強い勧めだったのですが、これが大正解でした。
北はキャンティ、南はオルチャ渓谷にかこまれ、中世時代はフィレンツェと栄華を競ったシエナは、食文化の水準は高く、ワインやチーズ、サラミにパスタ、たくさんのおいしい食材との出会いがありました。その中でも驚いたのがオリーブオイルでした。
それまで日本にいてもサラダ油は使っておらず、オリーブオイル派でしたが、イタリアのフレッシュなエキストラバージンオリーブオイルの味わいは全く別物!まさにオリーブのジュース。
さらに幸運なことに、語学学校のクラスにワイナリーで働いているYさんが入学してきたのです。Yさんの働くワイナリーではオリーブオイルも作っており、プレゼントしてくれたその一本のオリーブオイルが私のゆく道を決めたのでした。この翌年にオリーブオイルソムリエの資格をとったのです。
ブリケッラ農園。トスカーナ州リヴォルノ県にあるその農園はシエナから100㎞ほど離れた、ティレニア海にほど近いスヴェレートの村の郊外にありました。
海辺には、夏のリゾート地、ナポレオンが追放されたことでも有名なエルバ島への船も出る港街ピオンビーノがあり、エトルリア人の遺構なども残っている風光明媚な地です。
農園のオーナーはなんと日本人の宮川秀之さん。宮川さんは1960年にオートバイで世界一周の旅に出て、イタリアで運命の女性マリーザさんと出会い、後に結婚。1992年にブリケッラ農園の理念に共感、移住し、99年にこの農園のオーナーとなりました。
農園の理念のひとつが、自然の恵みと環境を大切に、農生産で家族の生活をまかない、周りにもその恵みを分かち合えるようにする、というもの。
ですから、ブリケッラ農園では、早くから有機無農薬栽培はもちろんのこと、太陽光パネルも導入されて自然エネルギーも活用されていました。
ステファノさんが畑の管理責任者。初めて握手をしたときに、その手の厚さに感動したことを覚えています。またオリーブの剪定や収穫ついて語る声の温かさはまさに彼の情熱だと思いました。
総面積42ヘクタールのうち、ブドウ畑が17ヘクタール、オリーブ畑が10ヘクタール、もちろんそのワインのクオリティー素晴らしく、数々の受賞歴もあります。またブリケッラ農園では、アグリツーリズモも展開されていて、農園に宿泊することも可能です。ぜひ訪ねてみてください。

Societa Agricola Bulichella s.r.l
Localita Bulichella 131, 57028
Suvereto(LI)